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コラム 毎週木曜21時更新

2018年9月6日  知識の入れ違い

たまにはクイズの軽いネタでも。
でもまあよく考えたら、もともとこのコラムはクイズの適当な話を書くものだ
ったんだけどね。何せ第1回は例の「コロンブスの卵」の話だったんだから
。(あのネタなんて適当にもほどがあるよなー)
ちなみにあの「卵」の当事者であるウチの息子は、あれからしっかりパワーア
ップを続けている。奴の話にこっちの目から鱗が5枚ぐらい落ちることが最近
はよくあって父は悔しい。クイズ的に面白い話もあるのでチャンスがあったら
また書いてみようと思う。

さて、クイズを好きで続けていると、あっという間に時間が経ってしまう。
時間が経つことそれ自体は経験が重ねられているということでむしろプラスし
かないんだけど、厄介なのは時間が経つと確実に「歳を食ってしまう」ことだ
(笑)
これは誰にも避けられないので仕方がないんだけど、でも困る。
ただ僕の経験上、歳を食ったからといって急に物忘れが激しくなる、みたいな
のはクイズの世界では実はほとんどなかったりする。傍目に見ていて、あの人
ヤバくなったなーってのもほとんどない。ヤバい奴は若い時からヤバい(笑)
それでもクイズの世界の連中もみんな歳を食うと「物忘れがねー」みたいなこ
とを言う。でもあれは謙遜やギャグの部分が大半で、スポーツ選手が感じる急
激な体の衰えのようなものは頭の中では起きていないのが実際だろう。
だからクイズ屋は誰一人として加齢を理由に引退しない。
むしろ逆に、変に衰えないからこそ年上の人の前で僕らはずっーと後輩や小僧
でいないといけない(笑) 瀬間さんの前では僕は永久にパシりだ。
そして同時に僕の後輩も確実に僕に対してそう思っている。

ところで、頭の中のトラブルといったら「ど忘れ」や「覚え間違い」がメジャ
ーなところだが、クイズにおいてはそこに「入れ違い」というのが加わる。
高校生の頃、まだ一人でクイズをやっていた時代は、こんなことが起こるのは
僕だけかも知れないと思って悩んでいたんだけど、クイズ屋と知り合うに連れ

て単なる「あるある」とわかってきた。
知識の入れ違い。これはどういうことかというと、濃い薄い関係なく何かの共
通項だけで繋がっている2つの単語が、なぜか同一のものと認識されてしまっ
て頭の中の同じフォルダに入ってしまい、当たり前のように頭の中を駆け巡っ
たり口をついて出てきたりするというものである。
なーんて書いたら全然わからんやん、ということで例を挙げると、たとえば僕
なら、クイズを始めた頃から「芦田均」と「片山哲」が同一人物になってしま
って困っている(笑)
「近衛文麿」と「東久邇宮稔彦王」も僕の中では同一人物だ。海外では「ダン
テ」と「ゲーテ」も1人しかいない。
とりわけ、「ブルガリア」と「ポルトガル」が同じフォルダに入っているのは
深刻だ。
たとえば「ブルガリアが面する海で」みたいな問題文があったときに、僕の頭
の中ではまずイベリア半島の地図が浮かんだりするのである。
この「入れ違い」の一番の面倒な部分はここからである。この「まず最初に思
い浮かべてしまうもの」がイベリア半島の時もあれば、正しく黒海あたりの地
図も場合によっては登場する。
間違っているものだけが頭に出てきてくれたら機械的に修正がかけられるが、
正しいものも出てくるので始末が悪いのである。
このように「入れ違い」の単語や固有名詞がクイズの問題文の中(特に冒頭)
に含まれるとその後の部分を当たり前のように間違ってしまうのである。僕は
これで生涯、何問を失ったことか。
しかもこれの悲しいところは、当人以外、たとえば僕以外の人にしてみたら「
ブルガリアとポルトガルなんか全然違うやんけ!」で確実に終わってしまうこ
とにある。
2つの単語がごっちゃになるのはあくまでもその人の基準であって、普遍的な
理由もへったくれもないのだ。ルールや法則なんかもないため、「入れ違い」
の発生はもう悲劇としか言いようがないのである。
そして一度入るとなかなか分離されないのも「入れ違い」の特徴で、それが被
害を長期にわたって深刻なものにしている。

先日もソーダライトで同じようなことがあった。
カーネーションはナデシコ科の花である。それを問うた問題で「キク科」と誤
答をした人がいた。

正解はナデシコ科、と言ったら「キク科ではないんですか?」と思いっきり食
い下がって来る。
確かに「科」の問題は十分ケアしないといけない分野だ。だから僕も「しまっ
た、カーネーション、変わったのか」と思ってしまった。それほど自信に満ち
た食い下がりだったのである(笑)
そのやり取りを見ていた人がスマホで調べてくれて「いやナデシコ科ですよ」
と援護射撃をしてくれた。僕も「調べてみるわ」と見てみるとやっぱりナデシ
コ科。当たり前だ、出題前に裏取ってるっての。
しかしここでその彼女も負けていない。「キク科って書いてありますよ」とな
おも畳み掛けてくる。
そして、彼女のスマホには確かに「キク科」の文字が!
そうかー、資料によっては違うのかー。チェックが行き届いてなかったか。し
まった。
「えー、みなさん、この問題はちょっと調べておきますね」
と言い終えて次の問題に行こうとしたとき。
「あ、カーネーションでしたか」
と彼女。
まさか。
そう、彼女は「カーネーション」ではなく「コスモス」の項を見ていたのだっ
た(笑)
彼女はものすごく照れて、すいませーんと謝った。そりゃそうだ、謝るしかで
きんわなー。
でも僕は心の中で思っていた。
「出たなー、近衛文麿!」(笑)
たぶん彼女はかなり早い段階で「カーネーション」と「コスモス」を混同して
いたのだろう。「入れ違い」だったらもう何年もそれが起こっているはずであ
る。
僕は確信していた。これは「入れ違い」である。彼女のなかでこの2つの単語
は同じフォルダに入っているに違いない。
しかたないよなー、クイズをやってるとそれはあるあるなんだよねー。だから
そんなに謝らなくていいよー。
だから僕もバツの悪そうにしている彼女に一言だけ声をかけておいた。
「カーネーションとコスモスて。全っ然、違うやんけ!」

他人に厳しく自分に甘く。そういうものにわたしはなりたい。

ではまた来週の木曜日。




コメント(1)

“知識の入れ違い” への1件のコメント

  1. まり より:

    皆さんはどんな入れ違いがあるのか、興味がわきました!私は、ジャン・バルジャンとダルタニャンです(>_<) あと、人見絹枝、伊東絹子、田中絹代が、ごっちゃです。

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